日記 / 2025年12月14日
結婚式参加RTA
20年来の友人の結婚式に参加するため、仙台へRTA(リアルタイムアタック)状態で向かい、現地でスーツ一式を揃えた話。
20年来の友人の結婚式に呼んでもらい仙台に帰っていた。 初めての結婚式の参加だった。
仕事終わりでそのまま新幹線に乗った。 仕事は私服だし、スーツも革靴も何ももっていないので、現地調達である。 翌日の15:30までに結婚式に参加できる状態でいなくてはならない。 いわゆる、RTA(リアルタイムアタック)である1。
註 1
金曜日は母と、母の彼氏と3人で飲んだ。
母の彼氏はイロハ横丁2でバーをやっている。 彼氏のバーで飲んだ。 店のガラスにはチェ・ゲバラの写真が印刷された洋書が飾ってあり、店内にはアンディ・ウォーホルのマリリン・モンローのポスターがでかでかと貼られている。 革命と資本主義が、アルコールの中では仲良く同居している。
註 2
帰宅し、犬と戯れて3時頃寝る。
10時に起床。 犬と戯れてから、シャワーを浴びて、12時頃家を出る。
この時点で、母が気を利かせてピン札を3枚用意してくれていた。 タイムロスの大きな原因となる「ピン札の両替」というイベントをスキップできたことになり、大幅な短縮に成功した。母、ナイスアシスト。
12時半ころ、スーツセレクトに到着する。 一目散に目が合った店員に事情を説明する。
「今日、友人の結婚式があり、何一つ準備していないので、全て揃えたいんです。予算が3~4万なので、それでどうにかしたい。最悪、革靴とかネクタイとかはドンキで買うので、ジャケットとパンツだけはここで買いたい」
そうまくしたてると、店員はすぐに「RTA走者」としての私を認識し、準備を始めてくれた。
早速目の前には2着のスーツ。 色が違うらしいが、誤差の範囲だ。黒にした。
ここまで5分くらい。 サイズだけ測りますね、と言われて試着して裾上げを頼んだ。
試着から着替えている間に、シャツとベストが用意されていた。 「ちょうどセールで1000円になっているのがあるので、これにしましょう」とのことでシャツも購入。
スーツが2万で、シャツが1000円。裾上げ代を含めても予算内に収まりそうだな、と安心していたら、店員がおもむろにベストを推してきた。
たしかに、なんの意味があるのかわからないベストだ。 防寒にもならなければ、防弾の機能もない。 だが、白のシャツに黒のジャケット、その間に一枚、灰色のベストがあるだけで、色のグラデーション的に「ちゃんとしている感」が出る気がした3。 思ってしまったのだ。
註 3
「これ、1万円です」
予算オーバー確実である。しかし、俺にはベストの有無で悩んでいる時間はなかった。 2~3分、脳内で葛藤した末、「可愛いならあったほうがいいよね」という雑な結論で購入。 しめて34,000円のお買い上げ。
「ドンキにいって、ベルトとネクタイと革靴揃えて戻ってくるので、最後ここで着替えさせてください」 と言って、店を出る。 この時点で13時過ぎ。割と順調である。
ドンキに行く。 革靴5000円、ベルト1500円。即決である。 ここには美学もへったくれもない。ただ足を守り、腰を締める機能があればいい。悩んでいる暇はない。
ここでネクタイも買えばよかったのだが、何が気に食わなかったのか、ドンキでは購入しなかった。 これで14時少し前。俺には移動時間込みで、あと1時間くらいしか残されていない。
ドンキの革靴。2万円の黒のスーツ。1万円の灰色のベスト、1000円のシャツ。 残すところはネクタイなのだが、あまりにも味気ない格好の自分が見えてきてしまった。 「どうせならネクタイで遊んでみるか」 そんな余計な自我が芽生えてしまった。
ビームスへ行く。 先程同様に店員に事情を説明する。 「とはいえ、なにか物足りなさもあって、ビームスへ来てしまいました……」と付け加える。 ドンキで済ませられなかった自意識を、店員に告解する。
20分くらいあぁでもないこうでもない、グダグダ悩んだ末、 14,000円のニットのネクタイを購入した。ニットで可愛いのである。
色が派手ではないものの、素材のテクスチャーで遊ぶという、賢しらな機転を利かせた4。
註 4
些か満足げでありながら、予算は確実にオーバーしているので「ネクタイさえ妥協しておけば」という後悔も抱えつつ、スーツセレクトに戻る。 一仕事を終えたつもりで、「ここで全部着させてください」と店員に伝え、試着室に入る。 ネクタイまで締めてもらう。 「うん、バッチリですね」と言われながら店を出る。 装備は整った。
ようやく落ち着けると思い、仙台駅の喫煙所で一服する。 なんなら荷物を駅のロッカーに預けようかなぁ、などと余裕をかましていた矢先である。
完全にご祝儀袋の存在を忘れていた。
そそくさと文房具屋さんへ向かう。 何でもいいやと思い手に取った。 ご祝儀袋の会計時、念のため店員に「これって……何か書かなきゃいけないんでしたっけ……」と恐る恐る聞いてみる。 なんだか一筆したためなきゃいけないらしい、ということで、筆ペンもセットで購入5。
註 5
とはいえ時間もないのである。 なんならお腹も空いてきた。 結婚式の最も厳かでみんなが静まり返っているタイミングで、お腹が鳴ったら恥ずかしい事は容易に想像がついた。
吉野家に入った。 カウンターで牛丼を食べながら、ご祝儀袋を書くことにした。
牛丼の湯気と、紅生姜の赤と、ご祝儀袋の水引の赤。
これでなんとかなり、なんとかなったのである。 大体3時間。ネクタイさえ妥協しておけばもう少し早く進んだはずだ。
そして、結婚式の控え室で友達と合流する。
小学校中学校の友達なのだが、中学校卒業以来だ。 20年近い時間が空いている。 ほとんど成人式で1回会った程度なので、まぁ微妙な距離感があるだろうなぁ。嫌だなぁ。 内向的な性格特有の、「起きてもいない気まずさ」を勝手に想像して、胃が痛くなる。
控え室の円卓を囲む形で、既に座っていた友達が数人いた。 そのうちの1人が、久しぶりに会う俺の顔を見るなり言った。
「ミッキー、気まずそうな顔してんじゃねーよ(笑)」
みんなの今日