日記 / 2023年7月22日

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3分 · 1424字日記7月

はじめて行く美容室。 ぼんやりと緊張しているので、目の前の公園でタバコを吸うことにする。

もう予約した時間の2分前。だからこのタバコを吸い終わる頃には予約時刻は過ぎるだろうけど、予約時間より前に行くのも癪に障る。髪を切るだけなのに楽しみにしていたみたいじゃないか。たかが髪を切るだけだ。少し遅れるくらいでいい。なんか聞かれたら「どのビルか分からなくて」とか「エレベーターの場所が分からなくて」とか適当にごまかせばいいし。

さて、そうこうしているうちにタバコを吸い終わったので意を決してエレベーターに乗って3階まで上がる。ちょうど退店した人とエレベーターで行き違いになる。坊主だったので不安になる。 扉を開けて店に入る。受付には誰もいない。キョロキョロしてしまう。早く俺に誰か声をかけてくれ。この時間が一番嫌いかも知れない。座って待っててくださいだけでいいから、忙しいのはわかるけど、それだけでいいから声かけてほしい。 店内ではフランクオーシャンの『Super rich kids』が流れている。「New car, New girl, New ice, New glass, New watch, good time, babe」 やっと声をかけてもらう。トートバックが無造作に持っていかれる。美容室の預かりシステムはみんなが暗黙のうちに、流されるがままに同意してしまっている。仙台市民が仙台駅周辺を「仙台」と呼んだり北九州市民が福岡市を「市内」と呼んだりしている時の居心地の悪さがある。断ったらどうなるんだろう。というか、中に入れていた文庫本を取っておくのを忘れた。手持ち無沙汰が確定する。どうせamazon primeのKindleが読めるあの退屈なタブレットが渡される。

席に着く。「もう少しだけ待っててください。」とのことなのでぼんやり店内を見渡す。目の前の鏡は木枠。やけにボロボロ、どうしたら木枠の鏡をこんなにボロボロにできるのだろう。隣ではロン毛のお兄さんが爆音でニュージーンズを聴いている。すぱしゃーい。すぱしゃーい。

「今日はどうされますか?」 「退屈じゃない感じで」と答える。「なりたい髪型とかないので、ほとんどお任せみたいな感じでいいです。」と付け加える。いつも言っている。一瞬だけさっきすれ違った坊主がよぎる。けど隣にロン毛のニュージーンズお兄さんが座っているし、まぁなんとかなるだろう。

そんなわけで髪を切った。 最後に写真撮られることになった。外に出るのかと思ったら、まさかのトイレに連れ込まれた。レイプされるのかと焦った。幸い鍵は開けてくれた。「あ、可愛いですね」と適当に褒められているのに少しニヤついてしまう。

でも多分美容師の側も始めて来る客にいくらか戸惑っているんだろう。以前も始めて行く店でやけに店員がソワソワしているなと思ったら、ぼくのホットペッパーの登録年齢が40歳になっていたことがあった。そりゃ40のおっさんがキラキラした美容室に急に予約入れてきたらビビるだろう。美容師もぼくらと同じくらいの年齢なわけだし。

それでこちらも心を開いた新規客としてのぞもうと思ったはずだけど、ダメだった。

あと福岡のオシャレシティボーイたちが行く美容室があるが、なんとなくそこで知り合いの知り合いの話みたいになるのがもはや疲れてきてしまった。福岡のそういうところはいいところでもあるけどたまに息苦しくなる。

Cosmic Dance / 2023年7月22日
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