AI / 2025年11月17日

生成AIと理想主義の限界

OpenAIの評価額とか見てて、完全にインフレだと思った。生成AIと市場経済の話。

6分 · 3325字AIスタートアップ資本主義思索

OpenAIの時価総額とかさ、直近のSakana AI、Third Intelligenceの資金調達とか見ててさ、完全にインフレだと思う。

生成AIってこう、人類に奉仕する技術だと思うの。

それをスタートアップというスキームでやること自体、つまり市場経済でやろうとすることに限界を感じるな。

そして、社会を良くしたいならNPOというスキームでもいいと思うんだよね。じっさいOpenAIはそういうスキームなんでしょ?

ただ、ここから先はうまくいえないんだけど。

スタートアップにある「社会を良くしたい」と、一方でそれを市場経済に乗せるということ。

その上で起業家個人の「成り上がりたい」って気持ちとかさ。

なんか、ビジネスにおける競争とか、成り上がりたいって気持ちとか、日曜劇場の醜さとは別のものがあって、同時に素敵だなと思うんだよね。

全然別のこと書いてる気もするけど、僕の中では同じ問題系なんだよねうまくいえないけど。

で、ちゃんと調べたんだよね

OpenAIの評価額、2025年10月で5000億ドル(約75兆円)。2024年9月は1500億ドルだったから、1年で3倍以上になってる。従業員株売却取引で、SpaceXやバイトダンスを抜いて世界最大の非上場企業になった。

でもさ、実態は?

年間売上36億ドル(約5600億円)で、年間赤字50億ドル(約7800億円)。

売上36億ドルなのに評価額5000億ドル。しかも赤字50億ドル。

どう考えても実態経済とかけ離れてる。

Sakana AIなんて創業2023年7月で、資金調達383.4億円(日本スタートアップ史上最大)、企業価値11億ドル(約1600億円)。投資家はNVIDIA、三菱UFJ、三井住友銀行、NEC、富士通。創業1年ちょっとで日本発スタートアップとして最速でユニコーン企業。

Third Intelligenceも2025年11月に80億円調達。三菱UFJ銀行がリード、三井住友銀行、SBI、博報堂DY。東大・松尾豊教授が参画して、国産の汎用人工知能(AGI)開発とか言ってる。

創業1-2年で数百億円調達してる。これって、技術の価値というより、「AIの覇権を取れるかもしれない企業に賭ける」っていうポーカーゲームになってる気がする。

OpenAIの話

で、OpenAIについてちゃんと調べたら、すごく複雑な話だった。

最初、2015年に非営利団体として設立されてて、「AGIは人類全体の利益のために開発されるべき」って理念だった。サム・アルトマン、イーロン・マスク、グレッグ・ブロックマンとかが創業者で、「人類のためのAI」を標榜してた。

でも2019年に利益上限付きの営利部門(OpenAI LP)を作った。理由は単純で、研究開発に莫大な資金が必要だったから。非営利だけでは資金調達が困難で、Googleやその他テック企業との競争に勝てない。

利益上限(Capped Profit)モデルっていうのは、投資家への利益は最大100倍までで、それを超える利益は非営利部門に還元する、っていう。これ、理想と現実の折衷案だったんだよね。

で、2024年12月に完全な営利企業への転換を発表したら、イーロン・マスクが訴訟を起こして「非営利の理念を裏切った」って。

2025年5月に方針転換して、営利部門はPBC(Public Benefit Corporation)になって、非営利団体が最大株主として支配権を維持することになった。

結果的に、複雑な組織構造になって、理想と利益の緊張関係はずっと続いてる。

生成AIってインフラじゃないの?

生成AIって、水道や電気みたいなインフラになるかもしれない技術だと思うんだよね。

つまり、誰もが使える公共財であるべきなんじゃないか。

でも現実は、OpenAIの評価額5000億ドル、年間赤字50億ドル、それでも投資家が殺到してる。これって、技術が「人類全体のため」というより、「誰が覇権を取るか」のゲームになってる。

「社会を良くしたい」なら、NPOというスキームもあるはず。実際、OpenAIは元々そういうスキームだった。

でもなぜ営利化したのか?

GPT-3、GPT-4の開発には数百億円規模の投資が必要で、Google、Meta、Microsoftといった巨大企業との競争があって、市場経済に乗せることで巨大なリソースが動く。

市場経済に乗せることで、理想だけでは動かせない巨大な資金と人材が集まる。

でも同時に、技術が「誰のものか」「誰が儲けるか」という争いを生む。

スタートアップって何なんだろう

ここから、ちょっとうまく言えないんだけど。

スタートアップには、「社会を良くしたい」という理想と、「成り上がりたい」という個人的野心が、両方同居してる。

普通、この2つは対立すると思うでしょ?

でも、スタートアップってその両方が混ざってる不思議な場所なんだよね。

純粋に「社会を良くしたい」だけなら、NPOでいい。 純粋に「儲けたい」だけなら、既存の大企業でいい。

でもスタートアップは違う。

理想と野心、両方があるからこそ、NPOとは違う速度とスケールで社会を変えられる可能性がある。市場の力を借りることで、理想だけでは動かせない巨大なリソースが動く。

同時に、純粋に利益だけ追求する大企業とも違う、ある種の「美しさ」みたいなものがある。

ビジネスにおける競争とか、成り上がりたいって気持ち。それって、日曜劇場の権力闘争みたいな醜さとは別のものがあると思うんだよね。

矛盾を抱えながら、でもそれを統合しようとする試み。理想と現実、利他と利己の間で綱渡りする姿。

その緊張感に、僕は素敵さを感じる。

でも生成AIは特別だと思う

生成AIに関しては、その綱渡りが特に難しいと思う。

なぜなら、これ本当に人類全体に影響する技術だから。水道や電気みたいなインフラになるかもしれないものを、誰が所有して、どう分配するのか。市場に任せていいのかっていう根本的な問い。

OpenAIは、まさにその矛盾の真ん中にいる。

「AGIは人類全体の利益のために開発されるべき」っていう非営利の理念と、評価額5000億ドル、年間赤字50億ドル、複雑な組織構造(非営利 + 営利PBC)、投資家への利益還元圧力。

「人類全体のため」と「投資家へのリターン」を両立させようとして複雑化してる。本質的な緊張はずっとある。

結局、この綱渡りで誰が勝つのか?

テック資本家(ピーター・ティール、マーク・アンドリーセン等)とAI技術者(高給取りのエンジニア)が勝って、ホワイトカラー(弁護士、会計士、アナリスト等)と中産階級が負けてる。

前回の記事で書いた通り、加速主義の右派が勝利してる。

整理できない

僕の中で整理つかない感じ、それ自体が正直だと思う。

評価額インフレは異常だと思うし、生成AIは人類に奉仕する技術であるべきだと思うし、でも市場経済に乗せないと前に進まないとも思うし、スタートアップの理想と野心の混在は素敵だと思うし、でも結局テック資本家が富を独占してるとも思う。

これ、全部同時に真だと思う。

技術は誰のものか?インフラになる技術を市場に任せていいのか?理想と野心は両立するのか?人類に奉仕する技術は、資本主義の中で実現できるのか?

簡単に答えが出る問題じゃない。

だから矛盾を抱えたまま、考え続けることが大事なのかもしれない。

きれいごとだけじゃない、泥臭さとか野心とか、でもそこに理想も混ざってる。その緊張感や矛盾を抱えたまま走る姿に、僕は素敵さを感じる。

同時に、警戒も必要だ。加速主義の右派が勝利し、テクノクラート支配が確立されつつある現実も見なければならない。

矛盾を抱えたまま、目を開けて、考え続ける。

それが今日の結論。


2025年11月17日

Cosmic Dance / 2025年11月17日
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