日記 / 2024年3月12日

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夜電波20161106

3分 · 1933字日記3月

半年くらい前にTinderでマッチして一回遊んだ人から久しぶりにDMが来た。

ちなみに半年前はなんかめっちゃ説教されていた。「もっとちゃんとしろよ」的な説教。具体的には「わたしとのデートに汚ねぇ格好してくるな」「髪型ちゃんとしたらモテる」とか「せっかく頭いいんだからちゃんと就活しろ」とか「タバコ吸うな」とかそんな感じのことを言われていた。そのくせ「私と付き合ったらいいのに」とか言ってくるから「ムカつくなぁ」と思っていた。
しきりに「会おう会おう」と言われていたが、ぼくも説教されるためにいそいそと会いに行くほど物好きじゃない。ずっと断っていた、いつの間にかインスタをブロ解されていた。

それが半年前。

そして今日「久しぶり〜。元気?」とDMが来た。鍵垢にしてるはずなのにフォロー外からDMが送れるのは意味わからん仕様だ。

「元気〜、東京に住むことになった 好きな人できたよ〜」と送ったらそれきり返信が来なくなった。
「やれやれ」と深いため息をついたあと、申し訳ないけれどブロックした。


失恋して傷つき、何日も泣いて暮らしていた僕が、泣き止んで最初にしたことは星野源とガッキーのドラマのエンディングで流れるダンスのコピーをすること。

一人だけになってしまったマンションは、おどろくほど広くて、ダンススタジオにピッタリ。ところが、失恋したというのに家には女性が帰ってくる。なんでだろう。僕はこれから複数の女性に会いに行くというのに、不思議だ。

部屋に入ってきた彼女は、どうやらダンスが得意らしく、コートを脱いで、僕と一緒に星野源の『恋』に合わせたダンスをコピーし始めた。
「一番上手なのは古田新ね。石田ゆり子はひどい。星野源って確か、イスラエルかどこかへコンテンポラリーダンスの留学に行ってたわよね。あ、不確かな記憶です。」とか言いながら、パジャマだかダンスウェアだか分からないくたびれたスウェットに着替える。
僕は「それって森山未來じゃあないかなぁ。」と思いながら、独特な振り付け、特に指の動きのコピーに苦心惨憺しながら、時折僕らが笑い、抱き合って軽くキスしながらまた再開している間に、キッチンからはカレーの匂いが漂ってくる。

別の女性がカレーを作り始めたのである。掃除機の静かな音も聞こえてきた。別の女性がすごい性能の掃除機で掃除を始めたのだ。また別の女性はベランダでシクシク泣いて、別の女性に背中をさすってもらっている。ダンスのコピーが完成するころには、ペアダンスは群舞になっていて、いろいろな女性が一緒に踊っている。

君たち全員、ひとりひとりに言いたいことがあったはずだ。でも、ダンスの途中にそんなことはできない。声が出せないって意味じゃない、思い出せないんだ。何を伝えたかったんだろう。君に、君に、君に、君に、そして、君に。

僕は恋がしたかったんじゃない。愛すら、きっとしたかったわけじゃない。 僕は、音楽とダンスがしたかっただけなんだ。でも、それがきっと恋するっていうことだったのかな、と気づいた時にはもう土星は去り、水星、そして光熱費を払わないといけない月末が近づいてきたのだった。

女性たちよ。マティスの絵のように踊ろう。光熱費の入った袋を掲げて。
女性たちよ。タゴールの詩のような女性たちよ。きっと僕は思い出すだろう。伝えたかったことを。

そう思った瞬間、ぼくは全てを思い出した。伝えたかったこと、伝えたくなかったこと、それは時折、同じことだったりする。そして踊りながら女性たちに叫んだ。
「ねぇねぇ、みんな聞いて。踊りながらでいい。」女性たちの踊りは完璧。音楽はフィンランドのパスタカス。そして僕はいった。「ねぇねぇみんな。踊りながらきいて。人生は祭りだ。共に生きよう。」

Cosmic Dance / 2024年3月12日
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